それでも。
後悔だけは一度もしなかった。
蒼人に気持ちをぶつけてしまったこと。
実の兄である蒼人を好きになったこと。
真琴は悩み苦しみはしたものの、後悔はしていなかった。
「すき…すき……。あおくんが…、好き…」
「まこ」
ぐっと後頭部を引き寄せられ、あっと思う間もなく唇が塞がれた。
目を閉じる隙さえなかった。
しっとりと重なった唇は熱くて柔らかく、離れてしまうのが惜しくて追いかけてしまいそうになるのを必死で堪える。
全身が焼けるように熱を持ち、身体の奥が疼くように反応する。
兄の部屋でひとり何度も演じた痴態が思い出され、耳まで赤くなったのが自分でもわかった。
「お前の『好き』は…これが嫌じゃない『好き』?」
蒼人は何かを堪えるように眉間に皺を寄せ、真琴の頬をそっと包む。
兄の唇が触れた自分の唇を指でなぞり、そのまま蒼人の唇にも指で触れた。
信じられない思いで柔らかい唇に指を押し当てる。
「……あおくん、は?」
「もう一度したくて、困ってる」
「っ、私も…、してほしくて…ずっと…苦しっ…んんっ!」
最後まで言わせてもらえないまま唇が奪われた。



