溢れる想いをこれ以上隠し通せないと、このまま言わずに後悔するのは嫌だと、自分の感情だけでいっぱいいっぱいだったあの時。
「ごめん…っ私…」
「まこ」
謝る真琴の腕を取り、蒼人は自分の胸の中に抱き締めた。
「謝るのは俺だ。自分勝手でごめん。でも、あの時はああするしかなかった…」
引き寄せられ目の前にある胸。
包んでくれる力強い腕。
耳元で響く低い声。
「聞かせてくれるか?あの日の続きを」
なにもかも変わっていない自分の気持ち。
ようやく言葉にすることを許される時がやってきたのだと、真琴はぎゅっと目を閉じた。
「…っすき。誰よりも…あおくんが好き…」
溢れる涙を拭いもしないで、あの日言わせてもらえなかった想いを言葉にする。
声が震えてうまく伝わらないのがもどかしくて、何度も何度も伝えた。
「あおくんが好きなの。小さい頃からずっと…、大好きなの…」
あの時。
自分の気持ちだけ考え伝えようとして遮られた時。
辛くて悲しくて、何度もこの気持ちを捨てたいと思った。
たくさんの女の子たちの好意を踏みにじってきた後ろめたさに押しつぶされそうになった。
受験前に蒼人の気持ちも考えずに感情をぶつけようとしたことに気付き、罪悪感に苛まれ眠れぬ夜を幾度も過ごした。



