「まこ、どうした?」
「コレ!」

少し皺になってしまった可愛らしいピンクの封筒を蒼人に差し出す。

「あおくんに渡してって頼まれたの。持ってきただけだったんだけど何かいつの間にか寝ちゃったみたい」

押し付けるように手紙を渡し早口で告げると、部屋を出ようと蒼人に背を向けた。

自分のやましい気持ちが蒼人にバレやしないか、ドキドキしすぎて小刻みに震える身体。
そんな真琴を不審に思い、蒼人はその手首を掴んだ。

「ちょっと待って」

掴まれた手首が異常に熱い。
蒼人は肩を掴んで自分の方に向かせると、前髪をかき上げ額を合わせた。

「……っ」

真琴は思わず肩を竦めて息を詰めた。
目の前に大好きで大好きで仕方がない兄の顔がある。

「熱はねぇな」

額を合わせたまま確認するように目を合わせて呟く蒼人。
吐息が真琴の唇にかかり、思わず大きく震えた。

「もしかしてお前も雨に濡れた?風邪引いたか?」

掴まれた手首、肩。
合わさった額、感じる吐息。
身体の中心がとろりと熱を持って潤む。

自分の身体の変化に驚き、真琴は涙ぐむ。
どうしてこんなことになったのか。