Chapter0 朧月
Yuna→Ruka

悲しかった。お母さんはいない。お父さんは仕事。お義母さんは…あまりよく分からない。義妹ともあまり話せない。
「さみしいよ…」
そんな時、私の心を見透かしたかのようにあの人が来てくれた。名前は、咲也。この村の神社にいつもいる人。

咲也は、私とずっと話してくれた。愚痴もいっぱい聞いてくれた。どれだけつらくても、咲也に会えば忘れられたの。
「瑠夏さん、大丈夫ですよ。僕はずっとここにいますから」
「いなくならないよね?」
怖かった。いつかいなくなるんじゃないかって。いつかふっと消えてしまうんじゃないかって。それくらい繊細で、神秘な存在に見えた。だからかな。
私の頭の中は、ずーっと咲也のことを考えてた。


「瑠夏さん、お話とは?」
「わ、私はっ…あなたのこと、好きなの」
「えっ…」
「とても好きで…ずっと大好きでっ…」
泣いてしまった。その日、どうなったかは覚えてない。でも、いい結果じゃないのはこの身で分かる。


でもね、咲也。私、ずっと好きだから。あなたが人に特別な気持ちは持てないって、知ってるけれど。あなたが、私に恋できないって分かってるけど。
「ずーっと、大好き…」


化粧をして、綺麗な服を着る。どうせ脱いでしまうのに。
いつか叶うかなあ。