「優奈、どうした?あの人たち知り合いか?」
「翔…いや、何でもない」
翔があのふたりのことを知らない。つまり、私が前にいた世界線と違う。不完全なんだ。
「なにか言われたりしなかった?お金払えとか…」
「詐欺犯は、よくいい人を装いますね」
「ふたりともそんなのじゃない。私の知り合いに、そんな物騒なひといないから」
妙に攻撃的だな…あのふたりのこと、何か知ってるのかな。
いや、聞くのもあまりいい気はしないかな。
「思い出は、守るからさ…」
「優奈?」
「ううん。いいの」