Chapter11 新たな門出

「はい、チーズ!よーし、よく撮れてるな」
「お父さん…恥ずかしい」
「なんでだ?この学校で初めての桜だろ?」
ただの転入生が、ここまでするかな…?今までそんなのした覚えないんだけど。
「あっ、もうこんな時間!私、いくね!」
「お?おお…って、あれ。ほんとだ。俺も急ぐか…」

指定された教室の前で待機する。名前が呼ばれたら、入る合図。よくある風景。さて、どんな人たちが待ってるのかな。
「よし、入れー」
来た。行こう…!
教室に入ると、男子、男子、男子、女子、男子、男子…あれ、女の子少なくない?
「女の子だぁー!!」
「待って、くっそ可愛いぞ」
「生きててよかった…!」
「やべえ、感激だわ」
「可愛すぎるぞ!?どうしたんだ!?」
な、なになに…!?そんな叫ばれる要素あるかな私…??しかも、か、か、可愛いって…男子から言われるのは、慣れてないよ…。
…どうしたものか。
「自己紹介、よろしく」
「…兜園から来ました。優奈です。よろしくお願いします」
自己紹介が終わると、ザワザワとしだす。落ち着きなさすぎじゃない…?
「兜園って、あの大都会の…」
「金持ちしか住めないんだろ?あそこ」
「土地代めちゃ高いらしい」
「金持ちの…令嬢??」
ま、待って。私の家そんなお金持ってたっけ。今住んでるのだって、ただの古民家なんだけど…。
「おまえら静かにしろー、猿みたいに騒ぐな」
その一言で、教室は一気に静まる。え、何これ。先生は飼育員…?
「優奈の席は…翔の隣だな。あそこだ」
指さされた先は…翔の隣。…翔?
「…翔?」
「…あ」
「え…と、早くに、会えたね」
「あ、ああ…」
予想外のつながりに、教室がまたざわつく。本当に賑やかなクラスだ。
「えっ…?まさか…」
「お前、あんな可愛い子と!?」
「ふざけんな!紹介しろよな!」
「実はもう手遅れとか…くっそぉぉ」
「…優奈は、友達だ」
翔の言葉を聞いて、さらにクラスが盛り上がる。
「本当は嘘なんだろ!!」
「瑠夏先輩っていう可愛い彼女を差し置いて…」
「罪な男だよなぁ」
「紹介…しろよ……うう」
「だから、瑠夏は彼女じゃない」
あ、彼女じゃないんだ。安心した。
…ん?
「よーし、お前ら席につけよー。今日は着任式だから服装は整えとけ」
「「「はーい!」」」
そこの返事はぴったりなんだね。いい子たち…。