萌音と出会ってから、華恋は時間を作っては萌音にこっそり会いにいくようになった。お嬢様ではなく庶民という立場の萌音と遊ぶことは、華恋にとって刺激的なものだった。
「萌音、これはどうやって食べるの?」
「それはかぶりつくの!クレープってみんなこうして食べるんだよ」
萌音に華恋は家のことを話しており、萌音から庶民の暮らしを教えてもらうことになった。それらは初めての体験ばかりで、華恋の胸は高鳴っていくのだ。
萌音とクレープを食べ、ブランドものではない服屋を見て回り、カラオケやゲームセンターにも行った。花が好きな萌音に、たくさんの花言葉も教えてもらった。
中学生になっても、萌音とこっそり会って遊ぶ日々は続いていた。今日は萌音とクッキーを作る。
「あなたといるととても楽しいわ」
そう華恋が言うと、萌音にふわりと頭に手を乗せられる。そして優しく頭を撫でられた。
「私も、華恋ちゃんといるのがすごく楽しい。なんだかずっとずっと前から一緒にいたみたいな感じがして、不思議なの」


