華恋は臓器提供の書類にサインをし、萌音の臓器を取り出す手術が行われることになった。

手術前日、華恋は一晩中萌音の手を握り続け、「愛してる」と言い続けた。そして迎えた手術当日は、雲一つない美しいよく晴れた青空が広がっていた。

萌音の眠るベッドが運ばれ、華恋は「萌音、ありがとう。誰かの一部になって生きて」と手を握りながら声をかける。そして、萌音のベッドは手術室の中へと消えていった。

「今日がお別れの日ね……」

青空を見上げた華恋の目から涙があふれ、耐えきれなくなり、華恋はその場にしゃがみ込んで泣き始める。その口からは嗚咽が漏れた。

今までずっと一緒にいた愛しい人は、永遠に別れなければならなくなってしまった。萌音の臓器は摘出され、これから誰かに移植されていく。

「ゆっくり休んでね……」

もう天国へ行ってしまった萌音に触れ、華恋は呟くように言う。こぼれ落ちた涙が萌音の体を濡らした。



萌音のお葬式が済んだ後、華恋はどこか落ち込んだ日々を過ごしていた。

「華恋、ちゃんと食べているの?」