花束

「萌音……？」

何が起きているのか、理解できなかった。道路は萌音の血で赤く染まり、人の騒めきと悲鳴が響く。

「萌音！！」

数十秒かけ、華恋は萌音が自分を庇って車に轢かれたのだと気付く。そしてすぐに萌音を助けようと車を持ち上げようとするが、女性の力ではどうにもならない。

「助けてください！！この子は私の大切な人なんです！！」

パニックになっていたため、華恋の口から出た言葉は日本語だった。しかし、何人もの人が集まってくれたため、何とか車をどけることができた。しかし、萌音はグッタリとして動かない。意識を失っている。

「萌音！！萌音！！」

華恋は止血をし、萌音の心配蘇生を繰り返しながら何度も名前を呼ぶ。涙で何度も視界がぼやけた。

それから救急車で病院に搬送された萌音は手術を受けたものの、医師から言われた言葉はあまりにも残酷だった。

「萌音さんは脳死状態です。持ってあと一週間でしょう」

「そんな……」