二人でご飯を作って食べる時、出かける時、仕事をしている時、お風呂に入って眠る時、互いの温もりがどこかにあってまた愛が育っていく。

「いつか、精子バンクから精子を提供してもらって子どもを産みたいな」

二人でパリの街を散歩している時、萌音が言った。二人は同性のため、当然子どもは作れない。しかし、同性カップルでも子どもを望む人はいる。

「そうね。萌音の子どもならきっと可愛いわ」

華恋はそう言い、萌音を抱き寄せる。萌音は「歩きにくいよ〜」と言いながらも楽しそうだ。そして、「あのね……」と呟く。

「私ね、誰かの役に立ちたいってずっと思ってるんだ。華恋ちゃんみたいに」

「私は誰の役にも立ってないわよ」

「そんなことない!華恋ちゃんは日本にいた頃はモデルをしていて、たくさんの女の子に夢を与えてた。そして今は、会社を引っ張っていってる!そんな人に私もなりたいの」

だから、約束してほしいことがある。

そう言われて華恋が聞いた言葉は、とても重くて簡単には決断できそうにないことだった。

「わかったわ。約束する」

この約束を叶える日は来ない。そう華恋は思っていた。そう思いながら、嬉しそうにする萌音にキスを落とす。