そうして気持ちを隠したまま華恋は高校生になった。華恋はお嬢様学校の高等科、萌音は普通の偏差値の学校だ。あまりにも立場が違いすぎるが、萌音への気持ちは捨てられないまま時間が過ぎていく。

この頃になると、両親が華恋の婚約者を決めようとパーティーに年相応の男性を招待するようになり、強制的なお見合いのような状況を作られることも多く、華恋は疲れてしまう。

「萌音〜……」

高校一年生の秋、華恋は久々にやっと会えた萌音に抱き付く。女の子同士なら多少くっついてもスキンシップだと思われるだけだろう。華恋は腕を回し、萌音に精一杯甘えてみる。

「華恋ちゃん、頑張ってるね〜。偉いね〜」

華恋が愚痴をこぼす中、萌音は優しく背中をさすりながら優しい声をかけてくれる。それが嬉しく、華恋の口からポロリと言葉があふれていた。

「私、婚約なんてしたくないの。だってずっと前からあなたが好きだから……」

「……えっ?」