深夏さんは興奮してジタバタしている。
ちなみに私は今も書類とパソコン画面を行き来している。

「でね、噂ではね、7人とも兄弟なんだけど異母兄弟らしいよ??でもね、イケメンらしいのっ」
そんな噂話を聞き流している私達に
「えぇ~元木さぁん、その噂ほんとぉですかぁ???」
甘えたような声で深夏さんに話かける彼女は柊木 萌姫(ひいらぎ もえぎ)。いつも緩く巻いたふわふわした髪に男を誘うような女の子らしい格好。声と同様に甘ったる香水の匂い。
「もえ、最近~今カレに飽きちゃったから~エリートな彼氏ほしいです」この入社しても女子大生気分が抜けてない彼女に毎回思う。
『ここはあんたの男漁りするトコじゃない』

「柊木さん、確か彼氏は年下の大学生じゃなかった??」
「そぉ~なんですよぉ~。今カレ学生で頭いいんですけどぉ、なんか課題ばっかりで、もえをかまってくれないんですぅ」
そういってしょんぼりした風の彼女に深夏さんは
「まぁ仕方ないんじゃないの?だって学生と社会人じゃあ、差があるわよ。いろいろと、ね」
そんなどうでもいい噂話とかまちょ女に挟まれながら仕事の手を止めない私はさらに毎回思う。
『お2人さん、仕事してくれんかね??』