木目調が優しい、ほっこりするような雰囲気だ。
 ピケの耳に、コポコポと湯を沸かす音と、パチパチと薪が燃える音が届く。
 店の中央には薪ストーブが置いてあって、小窓から揺らめく炎が見えた。

 カウンター席が三席、テーブル席が二つ。とてもこぢんまりした店だ。
 香ばしいかおりがピケの鼻をくすぐり、正直者のおなかが「ぐぅ」と鳴く。
 正面を向いていたノージーがクスリと笑うのを見たピケは、恥ずかしそうに一瞬顔を赤らめて、それからムゥと唇を尖らせた。

(だって、しょうがないじゃない。朝から何も食べていないのだもの)

 侍女になってからあれもこれもと食べさせられて、ピケはすっかり食いしん坊になってしまった。
 その上、今朝はノージーに急かされたせいでうっかり朝食を食べ損ねてしまったのだ。
 おなかが文句を言うのも、当然である。

 恥ずかしさをごまかすようにふてくされた顔をしているピケを盗み見たノージーは、耐えきれないとばかりに吹き出した。
 そのせいでますます恥ずかしさが増したピケは、むっすりと頰を膨らませる。