それから間もなくして、一行は謁見の間の扉の前へ到着した。
 城の中は目が眩みそうなくらい煌びやかだというのに、目の前の扉はそれ以上に豪奢だ。

(どんな需要があったら、天井まである高い扉が必要になるのかしら)

 いかにもな扉を前にして嫌でもいやでも緊張が高まり、ピケはどうでもいいようなことを考えた。

「キリル王太子殿下」

 扉の両隣に立っていた兵たちが、キリルに気がついて頭を下げる。
 キリルはそんな彼らに「ご苦労さま」とねぎらいの声を掛け、扉を開けるよう命じた。

 兵たちは扉の前へ立つと、ゆっくりと扉を押し開いた。
 ギギ、と重たそうな音を立てて開かれた扉の隙間から光が差し、やがて謁見の間が見えてくる。