一口大に切ったウサギの肉を串に刺して焼いた、シンプルな料理。ジュワジュワと肉汁を滴らせる串焼きに、ピケは目を輝かせた。
 気をつけてくださいね、と渡されたそれを受け取った彼女は、熱いうちに食べるのが一番だとばかりにさっそくかぶりつく。

「んん〜!」

 ハフハフと熱そうに息を吐きながら食べる姿は、頬袋を持つ小動物のようだ。
 唇の端を拭ってやりながら、ノージーは「かわいいな」と口の中ですばやく呟いた。

「やけどしないでくださいよ?」

「ん!」

 ペロリと舌を出して唇を舐めるしぐさは、まるで子どもである。
 串焼きひとつでこうも幸せそうな顔をする少女を、ノージーは守りたいと強く思った。

 もっとも、ピケは弱い女の子ではない。
 たとえノージーがいなくても、彼女はたくましく生きていける。それだけの経験を、彼女はしてきた。

 それでもノージーがピケを守りたいと思うのは、彼女が特別な女の子だからだ。
 最初は助けてくれた恩を返すため。だけど、その気持ちは彼女の成長とともに少しずつ変化していった。