一度にいろんなことを聞いて、頭がパンクしてしまいそうだ。なんとか理解できたらしいという安心感から、おなかが「クゥゥ」と鳴く。

「おなかすいた……」

 トランクを抱えてくったりと床に寝転がったピケの頭を、ノージーの手が優しく撫でた。
 興味本位でそっと手を重ねてみたら、思っていたよりも大きくてゴツゴツしている。

(美女だと思っていたけれど、性別は男なのかなぁ)

 おなかが減りすぎて、頭が働かない。
 父の容体が悪化してから、ろくに食べていなかった気がする。

「僕は告白したのですよ? ピケ。告白した男の前で眠りこけるなんて、どんな神経をしているのですか。襲われたって知りませんよ?……しませんけど」

「寝てない。おなかが減って動けないだけ」

「聞いてほしいところはそこではないのですが……まぁ、いいでしょう。僕が何か用意しますから、少し休んでいてください」

 ピケの頭から手が離れ、ノージーが立ち上がる。
 小屋の外へ行こうとする彼を、ピケは呼び止めた。