男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている

「それで……ピケはどうやらガルニール卿に脅されているらしいと思い至って。たまたま居合わせた警備兵たちが僕を総司令官のところへ連れていってくれたのです。報告した結果、ガルニール卿を捕らえるのに十分な証拠が揃いました」

 ガルニールの捕縛は、情報が漏れる前にすばやく済ませる必要があった。
 アドリアンのもとには、「ガルニール卿には優秀な密偵がいる」という情報が上がってきていたからだ。

「なるほど。この急展開はそのためだったのね」

 しかし、この短時間で成し遂げられてしまうのは、魔王と恐れられる総司令官だからだろう。
 その正体が実は魔女王だったと知った今は、更なる恐ろしさを覚える。
 とてもじゃないがエステに同行なんて無理だな、とピケは思った。

「ガルニール卿と協力者を捕縛すると決まった時、イネス様は無傷で捕まえて欲しいと訴えました。彼が手を失った時のことを思い出して、これ以上痛いことをしないであげてと」