男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている

(私の言うことを守ろうとしているあたり、ノージーらしい)

 彼らしい行動に、思わずフッと力が抜ける。

(大丈夫、聞けるわ。ノージーが言うことなら、大丈夫)

 ピケの深い緑色の目が、しっかりとノージーを見据える。
 彼女の目に、もう迷いはない。
 ノージーはコクリと頷きを返し、口を開いた。

「きっかけは……僕がピケの独り言を聞いたことでした」

「私の独り言……?」

 真っ先に思い出したのは、ノージーへの気持ちを自覚した時のことだ。
 まさか聞かれていたとは思ってもみなくて、ピケの頰が燃えるように赤くなる。
 ワナワナと震えるピケに、ノージーは「ごめん」と謝った。

「言い訳になってしまうけれど、僕の耳は人よりも広い範囲の音を拾ってしまうから……」

 聞くつもりはなかったのだと言いつつも、ノージーの顔には喜色が浮かんでいる。
 彼への気持ちが知られてしまったのは明白で、ピケの目は隠れ場所を探すように周囲を見回した。