「ずいぶん前に。余計なことをされたくなかったので、黙っていただけですよ」

 澄ました顔をしているノージーが小生意気に思えたのか、アドリアーナがニマァと笑った。

「彼女に言い寄るとでも?」

「その可能性はなきにしも非ずだったので」

「まぁ、彼女は男よりも女の方が気を許しやすいようだしな」

「余計なことはしないでくださいね。今はそれより、ガルニール卿のことです」

「そうだな──」

 その後はトントン拍子で話が進み、今に至る。