「ねぇ、ノージー。ガルニール卿はイネス様にその……そういう気持ちを抱いていたりするのかしら?」

 言いながら、ピケはしまったと思った。
 今までノージーに対して、恋愛絡みの話を振らないようにしていたのに。

(どうして言っちゃったのよぉぉぉ!)

 心の中で叫んだって、もう遅い。
 ノージーはどんな顔をしているのだろうとおそるおそる見てみたら、彼は平然とした顔で小首をかしげていた。

「恋愛感情、ということですか?」

「う、うん、そう」

 あまりにもノージーの態度が普通すぎて、ピケは逆に何かあるのではと勘繰った。
 決まり悪そうに答えるピケの前で、ノージーが顎に手を当てる。

「そうですねぇ……あくまで僕の私見ですけれど……恋愛感情ではないと思いますよ」

「そ、そうなんだ?」

「ええ。それにしても……ピケからそのような質問がくるとは意外でした」