敗戦国の分際で。
 口にしたわけではないが、キリルの言葉の端々から感じ取れた。
 総司令官より人気がないし、普段の彼からは想像もできなかったけれど、彼は戦勝国(ロスティ)の王族なのだ。上の者の寛容さを持ちながら、傲慢さも持ち合わせている。

 場に、重苦しい空気が立ち込めていた。と、その時である。

「少々、よろしいでしょうか?」

 軽く手を上げながら、ノージーは言った。