姫野先輩に「かわいい」って言われてもうれしくない。
いっくんに「幼なじみ」って言われてもうれしくない。
「そうだ。いまから、くるちゃんとご飯に行くんだけど、もしよかったら姫野さんも一緒に……どうかな?」
勢いよく誘ったかと思えば、ハッとして姫野先輩の顔色を窺うように首を傾げるいっくん。
え、いやだよ。
わたしはいっくんと、ふたりきりがいいんだよ。
「え?私もいいの?胡桃ちゃんともっとお話したいと思ってたの。あ、もちろん折原くんも」
「ふふ、僕がおまけみたいじゃん」
「そんなことないよ!」
「姫野さんは本当にくるちゃんのこと気になってるんだね」
「へへっ……すごく、気になってるよ。いっぱい話したいことあるんだ」
……勝手に話を進めないでよ。
わたしはなにも話すことないよ。
ふたりで決めないでよ。
空気読んでよ。
「胡桃ちゃん、私も一緒にいいかな?」



