「お前はカフェラテな」

そう言って私の座る斜め前あたりの位置に陣取り、ソファに腰を落ち着けた。

わざわざ牛乳を温めて作ってくれたカフェラテを一口飲む。控えめな甘さに冷えていた身体も心もホッと緩んだ。

「おいしい」
「そ、よかった」

床から見上げるため図らずも上目遣いで少しだけ微笑みかけると、応えるように笑顔を向けてくれる。

だけどそれも束の間。マグカップを置き、話を始めようとした雰囲気に思わず肩に力が入る。

両手でカップを持ち、俯いたまま翔さんの方を見られなくなってしまう。

「それ。お前は何かあるとすぐそうやって目をそらす」
「べつに、そんなこと」
「先月のランチの時もそうだった」

紅林さんとの初対面の日を思い出し、モヤモヤした胸の内を思い出す。

あの時はとにかく二人が並んでいるのを見てるのが辛くて、キヨに甘えてお店を出たんだった。

持っていたカップを奪われてテーブルに置くと、肘あたりを掴まれて強引にソファの上に引き上げられた。

肘を掴んでいた手がそのまま腕を滑って上がっていき、肩を経由して顎を掴んで視線を固定される。