兎の泪

その日あの子は頭が痛かったらしい。他の子が大方状況を教えてくれた。もちろん心配だった。早く治って欲しいと思った。でも、まだ私は「ごめん」の3文字が言えずに体調を崩したあの子に『薬飲んで寝なよ』って言ったんだ。

なんで?ねぇなんでなの?私。突き放す前にもっとかけてあげるべき言葉は沢山あったはずなのに。


分かってる。
ちゃんと分かってる。
これは私が勝手に嫉妬して 勝手に意地張って
自分勝手に傷つけた。それだけの事。

でもあの子は

確かにあの日私に【こわい】って言った。

ー私は息を飲んだー
あぁ、私、この子の気持ちなんて何も考えられていなかったんだ。って…

しんどそうに息を漏らすあの子の口から言われるまで気づかない程、私は最低な奴になっちゃったんだな…