コイノヨカン

残された私はと言うと・・・
とにかく視線が痛い。

声をかけたそうにする人もいるけれど、大地さん目の前に立ちがガードしてくれている。

間違いなく、今の私は場違いだ。
ここにいるべきではない人間。

もう、帰りたい。

「あの、私、失礼します」
小さな声で、大地さんに告げた。

「うん」
やはり止められなかった。

私はクルリと方向転換をして、エレベーターに向かった。

本当なら走って逃げたい。
でも必死に我慢して、エレベーターで1階に降りた。
大地さんも着いてきてくれた。



「ごめんなさい」
大地さんに申し訳なくて言ってみたけれど、すでに涙が溢れている。

自分が情けなくて、後悔の思いしかない。
今になって、奥様が心配していたことの意味が分かる。
私はなんてバカなんだ。

「送るよ」

「いえ、戻ってください。1人で大丈夫です」
こんな時だもの、大地さんだって忙しいはず。