その日1日電話応対に追われた渉さんは、機嫌が悪かった。
何か言いたそうに何度も私の前を通り過ぎるけれど、話すチャンスがない。
「そう言えば、最近凜さんを見かけなかったわね」
「そうですね」
私は先日の朝の泣きそうな顔で駆け出した凜さんを思い出していた。
あれから凜さんは会社に来なくなり、代わりに渉さんの帰りが遅くなった。
「このあいだ、専務と凜さんが一緒に帰っていくのを見たわ。デートだったのかしら」
「そうかもしれませんね」
まるで人ごとに言っている私。
まあ、人ごとだけど・・・
「栞奈ちゃん、大丈夫?」
その日の午後、ボーッとしていた私に萌さんが声をかけた。
「大丈夫ですよ」
って、嘘。
本当はかなりまいっている。
「良かったら、今日泊まりに来る?」
ええ?
驚いてしまった。
休日や仕事帰りに誘われて一緒に出かけることはあったけれど、家に呼んでもらったのは初めて。
「もし、栞奈ちゃんさえ良かったらだけどね」
「いいんですか?」
きっと、萌さんは何か感ずいているんだろうと思う。
それで「泊まりにおいで」なんて言ってくれる。
「明日は土曜日でお休みだし、ちょうどいいじゃない。ね?」
笑顔で誘ってもらって、私は萌さんの家にお邪魔することにした。
何か言いたそうに何度も私の前を通り過ぎるけれど、話すチャンスがない。
「そう言えば、最近凜さんを見かけなかったわね」
「そうですね」
私は先日の朝の泣きそうな顔で駆け出した凜さんを思い出していた。
あれから凜さんは会社に来なくなり、代わりに渉さんの帰りが遅くなった。
「このあいだ、専務と凜さんが一緒に帰っていくのを見たわ。デートだったのかしら」
「そうかもしれませんね」
まるで人ごとに言っている私。
まあ、人ごとだけど・・・
「栞奈ちゃん、大丈夫?」
その日の午後、ボーッとしていた私に萌さんが声をかけた。
「大丈夫ですよ」
って、嘘。
本当はかなりまいっている。
「良かったら、今日泊まりに来る?」
ええ?
驚いてしまった。
休日や仕事帰りに誘われて一緒に出かけることはあったけれど、家に呼んでもらったのは初めて。
「もし、栞奈ちゃんさえ良かったらだけどね」
「いいんですか?」
きっと、萌さんは何か感ずいているんだろうと思う。
それで「泊まりにおいで」なんて言ってくれる。
「明日は土曜日でお休みだし、ちょうどいいじゃない。ね?」
笑顔で誘ってもらって、私は萌さんの家にお邪魔することにした。



