パーティーに出ても恥ずかしくないマナーと最低限の教養を詰め込まれ始めた。


今までほとんど習い事とは縁のない生活をしていた私にとっては苦痛でしかなった。その送り迎えをする係は下田さんだった。


後から知ったことだけれど、父の会社が急成長をしていた時期だったのだ。


私も忙しい毎日を過ごし、父と母もそれぞれ忙しい。
家で顔を合わせることはないに等しい。


こんな生活は嫌だ。
思っても口には出せない。


母は父が決めたことだからという。
父はお前のためだという。


私はいい子の振りをしてその言葉を受け入れていた。


今にも気が狂いそうな生活の中でサチさんだけが私の心の支えだった。いつも笑顔で私を向かい入れてくれる存在だったから。


私には自由なんてものはない。