私はこの時に気がつくべきだったんだ。
父や母にとって私は邪魔な存在となっていることに。


次の日からも親が早く帰ってくることはなかった。
むしろ前よりも遅いくらいだ。


それでも親は私の気持ちを分かってくれたと思いこんでいた。


ある休日、目を覚ましたら家に母がいた。
忙しそうに家中を行ったり来たりしている。


「ママ、おはよう。」


「あら、やっと起きたのね。」


サチさん、と母が声を上げると女の人が隣の部屋から出てきた。


私にとってはおばあちゃんくらいの人。


「潤、明日、引っ越しなの。その家でお手伝いさんをしてくれるサチさんよ。今日もお手伝いに来てくれたのよ。」


隣に立っているサチさんは優しい笑顔を浮かべていた。


とりあえずその人に向き直り頭を下げる。