店内が忙しそうだったから、言葉すら交わしてない。
私が頻繁に来ていることにも気づかれていなくてもおかしくはない、と思っていた。


なんだか気恥ずかしい。
笑みをこぼしてごまかす。


その質問を肯定したところでいつもみたいに少しだけ愚痴るってこともできないしね。


「仕事じゃなかったら、彼氏とか?」


「なんで仕事じゃないって分かるんですか。」


「仕事のことだと、ちょっとは愚痴ってくれるのに、プライベートのことは全く話さないじゃないですか。」


そんなことまでバレている。


恐るべき宮くん。
そこまで秘密主義でいれるお客さんも珍しいですよ、って笑っている。


秘密にしているが故にバレたってことだよね。


職業柄であったとしてもすごい記憶力と洞察力。