だけれど、それがどうしてか、なんて考えない。
だって顔見知りの店員と客という今の関係のままでいなければいけないから。


この気持ちに言葉をあてはめて、最終的に傷つくのは自分自身。自分をいかに守るかしか考えられない。


こんな考え方しかできないから、私は悪魔の言いなりになって、自分で自分の人生を台無しにしているのかな。


宮くんのことやこの店のことを考えても、結局は悪魔の話に全て繋がってしまう自分の思考に嫌気がさす。


「どうぞ、ミズキさん。」


注文したドリンクを持ってきてくれたのは宮くん。


私の手元にあった氷だけになったグラスもスマートに下げてくれる。


「最近、よく来てくれますよね。」


「いいカモですよ。大事にしてくださいね。」


久しぶりに話をできることに口角が上がる。
やっぱりこの店に来たらこうやって話したい。