あまりにはっきり言うからこっちが恥ずかしくなる。
大人になるにつれて強い想いをこんなに口に出来なくなると思っていた。


「私、きっと藤堂さんが思っているような人じゃないですよ。以前助けたって話も覚えてないくらいですし。」


「別にそのことを覚えてなくても構わないですよ。潤さんとお話する機会はそのおかげでしたが、今の順さんにまた惹かれているんですから。」


あわせていた視線をそらして下を向く。
本気の目をして気持ちをさらけ出してくれている。
でも、私はこの想いに応えていいのだろうか。


「もしかして彼氏か想っている人がいるのですか。」


「彼氏はいませんよ。」


彼氏はいない、ってセリフ何回言っただろう。
浩くんが恋人役をしてくれるって言ったけれど、
今は喧嘩中だし、その関係を終わらせるまでもう少し。