カフェのイケメン君が私のウソ彼です

「んじゃあ、やっぱり男か!男だな?」


「先輩、酔ってます?ちょっと落ち着いて下さい。」


嬉々として少し声が大きくなっている茜先輩。
周りに注目されないかヒヤヒヤしながら、先輩に言葉をかける。


「まず、彼氏はいるのは当たりでしょ?」


「彼氏はいないです。ちょっと頼りにしている人がいるんですけどね。」


もう隠すことをあきらめて、差し替えないくらいに先輩の質問に答えることにした。


「ふーん。でも今、その人のこと好きでしょ。」


「まぁ。」


「はっきりしないわね~。んでその想い人と喧嘩でもしてこんなに落ち込んでるのか。」


「喧嘩というか……私が全面的に悪いんですけどね。」


そう、完全に悪いのは私で、会うことを避けてしまったのも私なんだ。
金曜日なのに、浩くんの店には行けなかった。