「なんか大切な用事があった?」


「ないよ。でも今日、男の人と会ってきたんでしょ。いろいろ心配になったから。」


この間の話、覚えててくれて、しかも、わざわざ心配してくれていたんだ。


ガチャと扉を開けて中に入る。


「適当に座ってて。お腹すいてる?」


「今は大丈夫。」


「分かった。」


広い部屋ではないから、宮くんの行動が全部見えるので、ずっと目で追ってしまう。


「はい。」


お茶を出してくれる。


「ありがとう。」


「いつもめっちゃ見てるよね。くせ?」


実は浩くんの部屋に来たのはもう初めてではない。


そのたびにやってしまうのは、これが最後になるかもしれないって思っているからかもしれない。