「今回、断ったところで、また新たにその類の話が来るだけですよね。」


「ですから、宮田様と将来を考えているのであれば、早めにお伝えください。」


「やっぱり調べていたんですね。あの人と結婚を決めているわけではありません。」


もういつもの公園の近くまで来ていた。
ここでいいです、と言って車から降ろしてもらう。


「以前お会いした方」なんて言い回しが滑稽だ。
絶対に興信所とかを使って素性を調べたと思っていたから。実際に名前を知っていたしね。


なんだか無性にイライラとする。
私の将来を我が物顔で遊ぶ悪魔や下田さんに。
そして思っていても何も行動できない自分自身に。


歩くとなるヒールの音がさらに苛立ちをあおる。


それでもカツカツとヒールを鳴らしながら歩き続ける。


不意に名前を呼ばれ、腕をつかまれた。
ビクッと体を揺らし振り返る。