食事を終え、店の外に出ると下田さんが待機していた。


藤堂さんに挨拶し、立ち去るまで頭を下げ、下田さんがドアを開けてくれた車に乗り込んだ。


よっぽど緊張していたのだろう。
ドアが閉まるとどっと疲れが押し寄せてシートにもたれかかる。


いつもなら車を降りるまで気を抜かないのだけれど、今日は例外だ。


流されて次会うことを許可し連絡先を交換してしまった自分を恨みたい。


静かに走り出した車の揺れに身を任せる。


しばらくしてから下田さんが口を開いた。


「直人様はいかがでしたか。」


直人とは藤堂さんの下の名前だ。
いかが、と言われても、答えようがない。


藤堂さんの言葉には戸惑い困惑しているけれど。