カラン カラン


木彫りのおしゃれなドア。
それを押すと軽快なベルの音が鳴る。


薄暗い店内に灯る温かみ照明が灯り、静かな音楽が出迎えてくれる。


まるで外の世界から隔絶された場所。


素早く店内を見渡す。
良かった。いつもの席が空いている。


窓際カウンターにほとんど人がいない。
その一番奥に腰かける。


しばらく外を眺めた後、近くを通りかかった店員を呼び止め、飲み物を注文した。


静かに置かれたアイスカフェラテ。
カランと氷が動く音が響くことすら心地よい。


あまり顔を上げず、ありがとうございます、とつぶやきながら会釈をした。
その場から店員が立ち去らない。


視線を上げると『MIYATA』のネームプレートが目に入る。
さらに上を向くととそこに立つ男性と目が合う。