「それは、それは。 結城さんならもっと綺麗な女性がいくらでも言い寄ってくるんじゃないですか?
何が悲しくてこんなブス…いや個性的な女性を…」

「ちょっと、朝比奈!」

キッと睨みつけるが、朝比奈は涼しい顔をしたままだ。

ムカつく。今はっきりと’ブス’って言ったわね?個性的って言い直したけれど、はっきりと聴こえたわ。 朝比奈のブスとは15年来の付き合いだが、さすがに人前では失礼すぎる。

「そうかなあ、すっごく綺麗な女性だと思うけれど
それに仕事も一生懸命でとても魅力的だ。
それに俺は朝比奈くんが思っているより全然モテないよ」

「またまたご謙遜を~。僕の知り合いの東日百貨店の女性にも人気なんですよ、結城さん素敵って声沢山聞きます」

’僕の知り合い’って!
それはあんたが手を出したテナントの女達の声だろう。

「あはは、それは嬉しいなあ。でも彼女たちに言っておいて、今すごく気になっている女性がいて、その人以外は当分目に入りそうにないって」

頭の上を落ちて来る言葉に、また胸がキュッと苦しくなる。 恋をするつもりなんかないんだ。けれど、そんな一途な言葉を投げかけられたら誰だってときめいてしまう。