「いえ、私なんてそんな…」

「今日も君の接客を見ていて思った。 君は美しい女性だ」

「う、うつ…」

美しいなんて、人の目を見て真っ直ぐに言うなんて。

やっぱり半分は外国人の血だ。 端正な顔立ちの彼にハッキリと言われると、誰だって動揺するだろうし胸がドキドキするのは当然だ。

やっぱり不思議な雰囲気の人。日本人の男性は、こういったタイプは少ないと思う。

「容姿や立ち振る舞いはずっとタイプだと思っていたんだ。
けれど、昨日の君の勇士を見てますます気に入ってしまった。美しく強い女性、俺の理想にぴったりだ。」

「まさか……」

私が、彼の理想の女性だなんてありえない。 私の事を何も知らないくせにどうしてそんな言葉が吐けるのだろう。 思わず右頬を押さえて、彼から投げかけられる視線を逸らす。

「困ります。すごーく、困ります。というか現在も困っています。 あなたとランチに来る事で後で同僚に何を言われるかたまったもんじゃない。
自分の立場をもっと自覚して下さい。女性の職場というのは、あなたが思っているよりも大変なものなのですよ」