02「初恋のメロンパン」




―――――

朝比奈と出会ったのは、中学の入学式。 同じクラスで隣の席。 別の学区内の小学校からやって来た見ず知らずのクラスメイト。

右頬に大きな赤いあざがあった私は、人よりきっと目立っていたと思う。 生まれつきあった顔のあざの事を両親はいつだって気にしてくれた。

 レーザー治療で病院にも週に1回通っていたけれど、効果はあまり見られなくって。小学生にしては辛い治療で途中で止めてしまった。

気持ち悪い。病気だ。 一部の同級生にからかわれて苛められていたけれど、段々大人になっていくにつれてその視線は同情の目に変わり、いつからか腫れものを扱われるみたいになっていった。

あざなど気にせずに仲良くしてくれる子も沢山いたけれど、歳を重ねるにつれてコンプレックスも積み重なっていった。


隣に座っていた朝比奈は、ジーっと私の顔を覗きこむように見つめていた。

…また、この赤いあざに注目が集まっている。出来るだけ平静を装って、背筋を伸ばして前を向く。

この頃には強がって生きて行く術は身に着けていたのだ。
そんな私に朝比奈は思いもよらない事を言い出したのだ。

『お前、目が出目金みたいにでっかくて気持ちが悪い』