’そのままの美麻でいい’ ’大丈夫’ 優しい瞳に見守られる中、いつの間にか自分の心の傷跡を塞いであげることが出来た。
あなたが何度も触れて、キスをしてくれるから、この頬にあるあざさえも自分自身だと愛してあげることが出来る。
あなたは、私が大嫌いだった傷ごと私を抱きしめてくれる。
「朝比奈、愛してるよ――」
見えなくとも、15年間ずっとそこに存在していた深い愛情に包まれて、安堵の息を漏らす自分がそこには居た。
あなたが私を愛していてくれたから
私は自分を愛する事が出来た。
愛とは――健やかなる時も、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも 富めるときも、貧しいときも
これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け。その中にある傷跡さえ分け合ってくれるあなたが居てくれたから
愛とは、気が付けばいつだって側にあったものだ。
完結。



