「馬鹿な事を…。冗談でも口にするな…。
まあ、お前が離婚したいつってもぜってーしてやらねぇけど。
寧ろこの完璧な俺がお前の旦那になってやったんだ。 そんな事は思わせねぇけどな」

偉そうな事を言っていても、涙目なのが面白い。
男の人を可愛いと思う感情は、それこそ無償の愛なのかもしれない。

「冗談。そんな事冗談でも思わないけどね」

図体ばかり大きくなって、いつまでも13歳のままのような朝比奈を包み込むように抱きしめると

朝比奈は耳まで真っ赤にさせて、そっと私の背中に腕を回す。

「もう、朝比奈の事離さないんだから」

「こっちの台詞だ。」

じわりと感じる熱の中で、朝比奈は穏やかに微笑んで私の顔をジッと見つめる。

そして、右頬にゆっくりとキスをした。 言葉はなくとも聞こえた気がしたんだ――’愛している’と。