「餃子の皮作り、私も手伝う。 だから明日は早く帰って来るね。
私も料理上手になりたい。 朝比奈の奥さんなんだから、朝比奈に美味しい物沢山食べさせてあげたい」

私の言葉は朝比奈にとってはすごく嬉しかったらしく、大きな瞳を赤くさせる。

15年間一緒に居てお互いを知り尽くしていると思っていたのに、蓋を開けて見れば知らない事も少しだけあって新鮮ではある。

朝比奈は感激屋で、嬉しい事があるとすぐに涙脆くなる。 ちなみに卓いわく、朝比奈は私の事になると途端に涙脆くなるらしい。

そんな姿はこちらからしたらバレバレなのだけど、両手で真っ赤になった顔を覆った。

「そんな可愛い事を言うんじゃねぇ…」

「朝比奈、また泣いてるの?」

「うるせ…!泣いてねぇよ。人を泣き虫みたいに言うな…」

「だって卓から色々聞いてるもの。 私に彼氏が出来た時は毎晩毎晩泣いてたって
私には絶対に見せなかったのにね」

「はぁー?!そんなの卓の記憶違いじゃねぇの?!この俺が、お前ごときに彼氏が出来たくらいで泣くかよッ」