熱いシャワーを浴びながら、考えていた。
ノリでセックスをしてしまったけれど、大河さんはきっと私が好きなのだと思う。

副社長という立場でありながらどこか庶民的な彼と付き合うのは、とても楽しいだろう。 結城社長も良い人だった。あれだけ大企業の社長でありながら、私との交際を反対はしないだろう。それどころか快く受け入れて貰っていた気がする。

けれど…大河さんと付き合ったとして、私は彼に全てを曝け出せるのだろうか。


念には念を入れて、シャワーを浴び終わっても鍵のかかった浴室でベースメイクを済ませる。

ベースメイクしかしていないから一見スッピン風。 それでも私の頬の赤いあざはたっぷりと保湿をした肌の上にファンデーションとコンシーラーをたっぷりと塗らないと隠し切れない。

これじゃあ犯行を隠蔽する詐欺師の気分だ。 大河さんは、どんな私の姿でも受け入れてくれるのだろうか。


バスタオルを体に巻いて浴室の鍵を開けると、洗面所の前に大河さんが立っていて驚きでその場で尻もちをついてしまう。