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ビックリするような高級タワーマンションに住んでいるとばかり思っていた。

結城社長の息子で、LILI BULEの副社長だ。 けれど意外な事に彼の住むマンションは良い意味で普通だった。

勿論私が暮らしているマンションよりかはずっと立派なものだったが、意外に庶民的というか何というか。


1LDKのどこにでもあるような間取りのマンション。 男性の一人暮らしらしく少し散らかっている所も好感が持てた。

そしてその日、彼の寝室で彼の匂いに包まれて抱かれた。 人の温もりを感じながら目を瞑るのはいつぶりだっただろうか。

寂しくてたまらなかった冬の夜。誰かに抱かれなくちゃ迎えられない朝の一つや二つある。


まだまだ外は薄っすらと暗い冬の朝。

大河さんの筋肉の程よくついた逞しい胸の中に抱かれて、ゆっくりと瞳を開ける。そっと顔を上げて彼の寝顔を覗き込むと、これまた無防備。

子供みたいな顔をして、心地の良さそうな寝息を立てる。 それにしても男の人にしては睫毛が長い。 肌も30歳を迎える男性とは思えない程透き通っていて綺麗だ。