【完】傷だらけのプロポーズ


大河さんは普通の結婚をしたいといつか言っていた。

きっと寂しい想いも沢山してきた人だ。 それでも捻くれずに真っ直ぐに育ってきたのは、やっぱり結城社長の愛情があったからだと思う。

「それよりご馳走もいっぱいあるし、お腹いっぱい食べちゃって。」

「それはすっごく嬉しい!庶民だからこんなご馳走そうそう食べれませんもんッ」

「アハハ、美麻ちゃんのそういう所好きだなー…
ごめんね、今日は急にパーティーに連れて来ちゃって。 どうしても美麻ちゃんを母さんに紹介したくって
周りから固めてく感じ。 俺って姑息かな?」

子供みたいに舌を出して笑う。 そうやって素直に言ってしまえる所、全然姑息じゃない。 寧ろ清々しいほど、気持ちのいい人だ。

きっと結城社長の誕生日パーティーなのだから彼だって挨拶回りや、やる事は沢山あるはずだ。

けれど彼自身も結城社長も「二人でパーティーを楽しんで」と気を遣ってくれた。 素敵な親子関係だと思う。