【完】傷だらけのプロポーズ


「私、大河には大河が決めた人と幸せになって欲しいと思っているの。
もしもこんな可愛らしい娘が出来たらすごーく嬉しいわ。
大河って見た目の割には子供っぽい所もあるけれど、気も良い子なのよ。
どうかよろしくお願いしますね」

…やっぱり素敵な人。 恋多き魔性の女だと噂では聞いていたけれど、そういったイメージは既に払拭されてしまった。

「今日はパーティーをゆっくり楽しんでいってね」そう私と大河さんに言い残した結城社長は、私達に頭を下げてパーティーの中心の輪の中に戻って行く。

「素敵な人ですね、大河さんのお母さん。 いや、結城社長が素敵な方っていうのは知っていたけれど」

「ん~?仕事は出来るけれど、それ以外は結構ふんわりした人でもあるよ。」

「本当に完璧な大人の女性って感じ…憧れちゃう。」

「憧れ…か。完璧でもないと思うよ。ほらさ、一芸に長けている人とか何かの才能がある人ってどこか欠落しているっていうじゃん。
あの人はそういう所あるよ。未だに若い男飼ってたり、素行に問題はある。
まあ、俺にとってはすごい人だと思うけどね」

「大河さん……」