ああ、またいつものが始まった。

朝比奈のこういった言葉には慣れ切ってしまっているけれど、第三者を挟んでされるとさすがに気分が悪い。

直接私にだけ言ってくる分には良い。 でも誰かを挟んで言われると、自分が惨めになるんだ。 言われ慣れている言葉だったはずなのに、気が緩むと涙が出そうになった。

下を向きグッと堪えて拳を握り締めると、その手を大河さんが優しく包む。 顔を上げると、ダークブラウンの瞳が優しくこちらを見据えている。

「いくら朝比奈くんでもその言葉は聞き捨てならないな。 美麻ちゃんはとっても魅力的で可愛い女の子だよ」

「…大河さん…」

「彼女を大切に想うのは結構だけど、俺の好きな人を貶されちゃあこっちも気分が悪い。
でもまあ、彼女の魅力は俺が分かっていればいいんだけどね。
美麻ちゃん行こうか。  じゃあ、朝比奈くん。またね」