「あっそ。 つーか、うちの会社の女の子に手を出すのは何人目? 本当に節操のない男だわ」

「はぁ?何を勘違いしてるか知らねぇけど、今までの遊びの女と一緒にするなよ。
それに美麻が言ってるのは若い頃の話だろ?俺だってそろそろ30歳を迎える男だ。将来の事は色々と考えてんだよ。
それに真澄ちゃんは特別なんだよ。」

心にも思っていない言葉は、大概吐いてから後悔するものだ。 「それって本当ですか?!」隣で真澄の大きな声が耳に響く。

言ってしまった言葉は戻らない。 「あっそうですかあー」と抑揚のない声で美麻が言って、マンション内へ入って行く。

取り残されたのは期待に満ちたキラキラの真澄の瞳と、取り返しのつかない事を言った無様な男の姿だけ。


大好きで仕方がないのに、どうして俺はいつも美麻の前になると素直になれないんだ…。

美麻以外の事は完璧なのに、どうしてお前を前にするとこんなにも不完全な人間になってしまうのだろう。