「真澄ちゃん、こいつには気をつけた方がいいよ」

「えぇ~?でも朝比奈さん素敵な人だから…」

「こいつなんて見た目ばっかの恰好つけなんだからね。
まあ、真澄ちゃんが朝比奈とどうなろうと私の知ったこっちゃないんだけどね」

「やだー…小田切さんったら…。 私の勝手な片思いみたいな感じだから。あッ言っちゃった…。
でも朝比奈さんってば私の事は何とも思ってなさそう。 だって小田切さんとの方がずっと仲が良いでしょう?」

「止めてよ。私とこいつは何もないし。大体朝比奈みたいな男、全然タイプじゃないもの」

冷静に話そう。 その想いはどこへやら。 美麻に向き直り、フンッと鼻を鳴らしながら見下ろす。

「タイプじゃないってのは、こっちの話だ。誰がお前みたいなブス。
真澄ちゃんとお前を比べたら月とすっぽんなんだよ。若さも可愛さも。
ちょっと位男に言い寄られてるからって調子に乗ってんじゃねぇぞ?」

おいおい、俺はなんつー事を。 けれど、一度言い出したら止まらない。やめられない。 染みついた習性つーのは怖い。

美麻はこちらを一瞥した後、フンッと顔を横に背けた。

隣に居た真澄は驚いた顔をして、頬を少し赤らめて嬉しそうだ。 俺は…俺は…一体なんつー事を…。