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「あ、」
「ああ!」

家を出る時真澄に見つからないようにそっと美麻の家の扉に耳を立てた。 中から人の気配は感じられなかった。

だけど真澄を連れだって歩くエントランス前で、偶然にも会ってしまうのだ。 俺達二人を発見した美麻は大きく目を見開き、こちらを交互に見つめる。

情けない話だが一瞬その場で硬直して動けなくなり、パニックになっている頭で必死に言い訳を考えていた。

先に口を開いたのは真澄だった。

「小田切さん、おはようございます。 よく会いますね。昨日も」

「あー…うんー…よく会うわね。 私は昨日は友人の家に泊まってたの」

友人の家ぇ?!?!?!?!?!?! おいおい、その友人ってハーフの御曹司様じゃねぇだろうな?

けれども朝から美麻のメイクはバッチリだった。だけどやけに疲れた冴えない顔をしていた。

「真澄ちゃんは、朝比奈の家にお泊り?」
「ちが……」